また、特定の栄養素が足りないと、「うつ」に似た状態を引き起こすことが報告されています。
まずは、どういった食事や食生活が「うつ」になりやすいのか順番に見ていきましょう。
うつになりやすい人に見られる食生活の特徴
- ダイエット女性の鉄分不足
- 糖質・脂質の取り過ぎによる生活習慣病
- ビタミン・ミネラル・アミノ酸不足の食事
1日3食食べないなど、食事を抜くと、心身に必要な栄養素が足りなくなるおそれがあります。また、ダイエットをしている女性の場合、鉄分が不足して「うつ」のような症状を引き起こすことがあります。また、食生活の欧米化にともない、糖質や脂質の摂取量が増えているので、栄養の偏りによって「生活習慣病」が増え、「うつ病」などの発症リスクを上げている可能性があります。
他にも、各種ビタミン、ミネラル、アミノ酸などが不足すると「うつ」状態に、つながる可能性も指摘されています。
うつに効くと言われている食べ物
「うつ」の人はビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などの栄養素をまんべんなく、必要な量を摂取することが望ましいです。また、腸内環境を整えるため、乳酸菌や食物繊維なども摂取した方が、ストレス対策になると言われていますよ。
うつ改善におすすめ!地中海式料理
うつ改善におすすめ!和食
セロトニンの材料!トリプトファン
必須アミノ酸である「トリプトファン」の摂取が、「うつ」の症状を軽減すると期待されています。
「トリプトファン」は、「セロトニン」のもととなる重要な物質です。食事によって摂取した「トリプトファン」は、脳内で「セロトニン」に変換され、精神状態を安定させる役割を担っています。
「セロトニン」は、気分を安定させる作用があり、その材料である「トリプトファン」の減少が、「うつ」の要因の一つと言われています。
「セロトニン」の原料である「トリプトファン」を適切に摂取することで、「セロトニン」の量を増やし、うつ病の予防や治療に役立つ可能性があります。
人間の体内では、「トリプトファン」を自ら生成することはできないため、食事から摂取する必要があります。
日本では、一日あたりの「トリプトファン」の摂取量の目安は設定されていませんが、「フランス食品衛生安全庁(AFSSA)」では、「1日に220mg程度の摂取が望ましい」と提唱しています。
具体的な、成人の一日あたりの必要量は、鮭の切り身1切れ、肉類100g程度です。
頭がよくなる!で有名な、「EPA・DHA」はうつにも効くの?
EPAやDHAは、青魚に多く含まれている成分です。魚を多く食べている地域では「うつ」が少ないという統計から、「うつ」への効果が期待されています。
1998年に何カ国もの間で、「魚の消費量とうつ病にかかる率の関係」を調べた研究では、魚の消費量が多いほど「うつ」にかかる率は低いと報告されました。
✅「うつ」の患者さんの血液中では「ω-3脂肪酸」が低下していることが報告されたり、✅「うつ」の患者さんの死後の脳では「DHA」が低下しているという報告がありました。
国立研究開発法人 国立がん研究センター
がん対策研究所 予防関連プロジェクト
「魚介類・n-3不飽和脂肪酸摂取とうつ病との関連について」
ビタミンD・B群(葉酸)
ビタミンB群
GABA(ギャバ)-Gamma Amino Butyric Acidの略
「抗ストレス作用」もあると言われ、リラックスや睡眠の調節、ストレスの緩和などに関与しています。GABAは、不安や緊張を軽減する効果があり、一般的には神経安定剤や睡眠補助薬として用いられることもあります。
うつ改善の効果がある「ビタミンD」
「うつ病」は脳内の神経伝達物質の不活性化がもたらす疾患ですが、ビタミンDの受容体が脳内でも前頭前皮質や海馬、視床、視床下部などの部位に多く発現しているのが確認されています。
ミネラルはうつに効く?
臨床研究センター
うつの改善にかかせない「マグネシウム」
マグネシウムは吸収されにくいミネラルの一つですが、「うつ病」の改善には欠かせない栄養素の一つです。
マグネシウムはセロトニンとドーパミンの分泌を増やし、コルチゾールの生成を抑えます。
セロトニン | セロトニンは、脳内で神経伝達物質として機能し、気分や睡眠、食欲、学習能力などに影響を与える化学物質です。主に幸福感やリラックス感と関連付けられ、不足するとうつ病や不安障害などの精神的な問題が引き起こされることがあります。 |
---|---|
ドーパミン | ドーパミンは、脳内での神経伝達物質であり、快楽や報酬、運動、注意、学習などに関与します。報酬系として知られる脳の一部で特に重要であり、中毒性のある物質や行動に関連付けられることがあります。 |
コルチゾール | コルチゾールは、ストレスホルモンとして知られており、副腎皮質から分泌されます。ストレス反応や免疫系の調節、糖代謝などに関与し、短期的なストレスの対処に役立ちますが、長期間のストレスや過剰なコルチゾール分泌は健康に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
マグネシウムは自然の精神安定剤で、「うつ」の場合、体全体のマグネシウム量が低く、回復ともに増加すると言われています。多くの不眠症の患者には、マグネシウム不足が関係していると考えられています。
うつの改善にかかせない「カルシウム」
カルシウム不足は、「うつ」だけでなく、記憶障害、不眠、怒りっぽさ、イライラ、不安・緊張などに関係していると言われています。「うつ」を改善させるためには、カルシウムの補給が大切になります。
カルシウムを多く含む食品には、次のようなものがあります。
🥛カルシウムは、牛乳や乳製品の場合、他の食品よりも吸収率が高く、1回の摂取量も多いので、効率よくカルシウムが摂取できます。
🥛カルシウムの吸収を助けるためには、ビタミンDやリジン、乳酸菌もあわせて摂取すると理想的です。
🥛カルシウムを効率良く摂るには、3回の食事をバランスよく食べることが大切です。
🥛野菜、海藻類、乳製品、大豆製品など、幅広い食材を摂取することで、カルシウムの摂取量も満たされると考えられます。
女性は要注意!うつと鉄分の関係
鉄分の欠乏は、貧血だけでなく、うつ病の大きな要因の一つになります。鉄分は、認知機能や発達機能などの向上に大切な栄養素ですが、鉄分の欠乏により貧血を発症し、神経伝達物質が不足します。
その結果、脳の機能が低下して、精神状態の乱れ、やる気の不足、そして感情の不安定など精神疾患の要因になります。
鉄分はうつに効く?産後うつと鉄分不足
鉄は産後うつ病との関連が数多く報告されています。女性の場合、鉄欠乏の方が多く、出産時には胎児に栄養を取られるだけでなく、出血によって鉄を失いやすい状態です。
鉄が不足している方に、鉄分の補充をしたところ、「うつ症状」が改善したという報告もあります。
鉄分の摂取量を増やすのに効果的な食品は、赤身肉、青魚、オートミール、ほうれん草などの野菜、卵、豆類などです。
亜鉛はうつに効く?亜鉛とうつの関係
亜鉛は、神経機能や神経システムの活動を刺激し、神経伝達物質の分泌を促進する、重要な栄養素の一つです。
食品添加物に含まれるリンは、亜鉛の吸収を邪魔してしまうので、亜鉛欠乏の方は、意外と多いと考えられます。
亜鉛が極端に不足すると、味覚の異常が出てきますが、その一方で、「うつ病」のリスクを高めるという報告もあります。