【医師解説】EDの原因を徹底解説!ED治療薬の種類と薬に頼らず治す方法(後編)
3.お薬に頼らないEDの改善方法
・ED予防と改善のための食事
・ED予防と改善のための運動
4.まとめ
やや長い解説になりますが、ぜひご覧下さい!
お薬に頼らないEDの解決方法について
EDを改善する方法はいくつかありますが
- 「睡眠時間をしっかり確保する」
- 「過度の飲酒を避ける」
- 「禁煙する」
- 「栄養バランスの良い食生活を心がける」
- 「適度な運動を行う」
- 「過度な自慰行為を減らす」
この6つをおすすめしています。
睡眠時間を確保しっかり確保する
海外の研究では、5時間以下の睡眠を1週間続けた場合、テストステロンの分泌量が10%から15%低下したと報告されています。最低でも1日6時間から7時間程度は、睡眠時間を確保するようにしたいです。ただし8時間以上寝るとEDのリスクが高まってしまうので気を付けてください。理想的なのは7時間という風に言われています。
過度の飲酒を避ける
「過度の飲酒を避ける」先ほどご説明した通り、飲酒習慣とEDの発症率に関連性があるという臨床データはないのですが。慢性的な飲酒が「肥満」や「動脈硬化」につながると言うのが実際のところです。「肥満」や「動脈硬化」などの「生活習慣病」はEDのリスクファクターなので、過度の飲酒は避けた方が良いということです。
1日あたり飲酒量は純エタノール換算で20g程度が適量とされています。ただし、アルコールというのは良い面もあって、リラックス効果があります。性行為の前に少し飲む程度であれば、逆に良い方向に働く可能性もあるということです。
禁煙する
「ED診療のガイドライン」というのがあるのですが、EDの患者に対して禁煙指導を行うことが、強く推奨されています。「喫煙」は「動脈硬化」を引き起こすだけではなく、ニコチンによる血管収縮作用もあるので要注意です。
禁煙することで、がん・脳卒中・心筋梗塞などの様々な病気のリスクを下げるだけではなく、今後の健康のためにも、ぜひ「禁煙」に取り組んでみると良いと思います。
EDの方が摂取すべき栄養素と食事について
EDと食事というのは密接に関係しています。特に「器質性ED」というのは「生活習慣が原因」と言われているので、栄養バランスの良い食事で、心身を健康に整えることで改善が期待できます。
「器質性ED」というのは、先ほども、お話した通り、主に血管と神経の障害によって起こるEDのことです。
例えば、栄養不足の状態が続けば、血液の流れが悪くなって、陰茎への血流が減って、勃起しにくくなると考えられます。
- 「栄養バランスの乱れ」によって男性ホルモンの一つであるテストステロンの分泌量が低下すると、性欲が減少してEDになりやすいという風に考えらます。
- 「高カロリーの食事」も注意が必要です。
高カロリー食が、肥満や糖尿病などを引きおこすことはよく知られていますが、肥満や糖尿病の方は、血の巡りの悪さなどから、EDになりやすいという風に考えられています。EDを改善するためには、食事内容を見直して、肥満気味の方は、「カロリー制限」も合わせて行うことが大切です。
EDの方におすすめしたいい栄養素
「EDの方が摂取すべき栄養素」というのは、いくつかあります。
- 「亜鉛」牡蠣とかレバーに含まれているもの。
- アミノ酸の一種である「シトルリン」。これはスイカやメロンに含まれているものです。
- 「DHA・EPA」サバやサンマに含まれているお魚の油です。
「ビタミンE」アーモンドやアボカドに含まれている栄養素です。
ただ、これだけを食べていれば、EDが改善するというわけではありません!こういう食材を取り入れた上で、5大栄養素である、「炭水化物」、「脂質」、「たんぱく質」
「ミネラル」、「ビタミン」をバランス良く摂取してあげることが大切です。
テストステロンの分泌量の像がが期待できる「亜鉛」
「亜鉛」を摂取すると「勃起力が向上する」という臨床データというのは無いのですが、男性ホルモンの一つである、テストステロンの分泌量の増加が期待できます。
男性ホルモンのテストステロンというのは、心身の健康に大きく関係していて、テストステロンが増えることで、「エネルギッシュになる」「性的興奮が高まる」そういった変化が期待できるので、間接的にEDの改善につながる可能性があるということです。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準2020年版によると亜鉛の1日の目安の摂取量は成人男性で11mgぐらいと言われています。亜鉛を多く含む食材は下記のとおりです。
DHAとEPAで血液をサラサラに!
必須脂肪酸の1種である「DHA」と「EPA」は、「血液をサラサラにする」と言われていますが、血流が改善すれば勃起力の向上も期待できるので、間接的にEDの改善に役立つ栄養素です。
「DHA・EPA」の1日の摂取量の目安というのは、両方合わせて1000mg以上です。
「DHA・EPA」が多く含まれる食品というのは、アジ・いわし・鮭・サバ・サンマなどです。例えば鮭だったら一切れ、サバであれば2分の1ぐらい食べれば1日の摂取目安量を超えられます。毎日魚を食べるのが難しい方は、サプリメントでなどを活用するのも良いと思います。
抗酸化作用があるビタミンEで若返り!?
「ビタミンE」ですが「ビタミンE」には、抗酸化作用があって、EDの原因の一つである「男性更年期障害」の予防になるので間接的にEDの改善につながる可能性があります。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準によると、「ビタミンE」の1日の摂取量の目安というのは成人で6.5mgです。
「ビタミンE」の場合、アーモンドであれば20粒以上。アボカドであれば1個食べれば1日の摂取量の目安を超えることができます。
「ビタミンE」が多く含まれる食材は下記のとおりです。
シトルリン摂取でED改善!
アミノ酸の一種である「シトルリン」というのは「陰茎海綿体」(勃起に関与する組織)への血液の流入に必要なNO(一酸化窒素)の生成をするために必要になってきます。
国立研究開発法人の「虚血に伴う勃起不全に対する新規アプローチ」では、「シトルリンの摂取」でEDが改善したという風に報告されています。
食品安全委員会の「遺伝子組み換え食品などの専門調査会」によれば、栄養補助食品として販売されている「L-シトルリン」の場合、目安の摂取量は1日800mg。これは、だいたいスイカ440gに相当します。
シトルリンは、メロンやきゅうりなどのウリ科の植物に多く含まれているので、意識して摂取してみるようにしてください。
EDの予防・改善のために避けるべき食品
次にEDの予防・改善のために避けるべき食品について、解説していきたいと思います。
- 高カロリーな食事
- 塩分が多い食事
- 脂肪量が多い食事
- ジャンクフード
- カップ麺
- スナック菓子
こういったものでBMIが増える・肥満になるにつれて、EDのリスクは高まります。そのため「高カロリーの食事」というのは避けた方が良いと思います。
肥満以外にも高カロリーの食事による、「高血圧症」「動脈硬化」「糖尿病」などもEDのリスクを高めるので、注意が必要になってきます。
あとは「塩分が高い食事」です。
- ラーメン
- レトルト食品
- 味噌汁
など塩分が多いと「高血圧」を引き起こすと言われていますが、「高血圧」の患者さんというのは、EDを合併する頻度が高いことが分かっています。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準だと塩分の摂取目安量というのは、成人男性でだいたい1日7.5g未満です。例えばラーメン一杯には、だいたい6gぐらいの塩分が含まれているので一杯食べるだけで、1日の摂取量の目安の大半を満たしてしまう現実があるので、ラーメンの場合だったら汁を残すなど、そういった対策が必要になってきます。
あとは味が濃い食事というのは、塩分を多く含む傾向があるので、濃い味が好きな方は、減塩を心がけて下さい。
- 脂肪分が多い食事
- 揚げ物
- 油を多く使った料理
- 洋菓子
- 高脂肪食
というのは、肥満や動脈硬化を引き起こす原因の一つになります。
「ED診療ガイドライン」でも「肥満」と「動脈硬化」どちらもEDリスクと関係しているとされているので、揚げ物をはじめとして、バターや生クリームをたくさん使う洋食や洋菓子には多くの脂肪分が含まれるので、なるべく控えた方が良いということです。
食事というのは確かにEDの発症と関係しているので改善が必要なのですが、食事に注意するだけでEDを根本的に改善するのは難しいですし、変化を実感するまでには時間がかかることに注意して下さい。
EDの方におすすめの運動について
EDの予防や改善ができるおすすめの運動は4つあります。
- 有酸素運動
- 筋トレ
- 骨盤底筋体操
- 開脚ストレッチ
この4つです。EDの予防と改善に有効な運動として持久力を使う「有酸素運動」を推奨しています。具体的には「ジョギング」「ウォーキング」「ランニング」「水泳」などです。
1回あたり30分~40分程度、軽く息が切れる程度の「ジョギング」や「ウォーキング」を週3回以上を目安に続けるようにした方がいいと思います。
- 「有酸素運動」というのは、血液の循環を促進することが知られているので、EDの主な原因である「動脈硬化」による血流悪化の改善が期待できます。
- 「ジョギング」や「ランニング」というのは、全身運動なので、血流の改善だけではなく、下半身や体幹の筋肉を鍛えられることもメリットという風に言えます。
- 下半身の「筋トレ」というのもEDの改善には効果的です。
そもそも運動自体が効果的であると考えられているので、平均以上に運動する集団と、そうでない集団を比べた時に、明らかな違いが見られたという研究もあります。あとは平均以上の運動でなくても、運動不足を解消するだけでも、大きな効果が期待できます。
筋トレでテストステロンUP
「筋トレ」は男性ホルモンの一種である、テストステロンの分泌を促す効果があります。テストステロンは、男性の性機能と深い関わりがあって、テストステロンが増えることによって勃起力の向上やEDの改善が期待できます。
EDにはスクワット
特におすすめなのは「スクワット」です。筋トレ業界では「まずは黙ってスクワット」という言葉があるぐらい、「スクワット」というのは重要です。
「スクワット」は、脚・お尻・下半身の筋肉全体が鍛えられて、下半身の血流を改善する効果も期待できます。「スクワット」を自重を行う場合は、1回20~50回ぐらいを3~5セット1日1回。これを1~2日おきにやると丁度良いと思います。
EDにはケーゲル体操
EDには「ケーゲル体操(骨盤底筋体操)」というのが効果的だと言われています。骨盤底筋群というのは排尿や排便、勃起などをコントロールする筋肉なのですが、EDの患者さんというのは健常者と比べて骨盤底筋の収縮力が低いという研究結果があります。
「ケーゲル体操」という、骨盤底筋群を手軽に鍛えられる方法なので、EDの自覚がある方は習慣にしてやってみた方が良いと思います。「ケーゲル体操」のやり方については、ネットで検索すると出てくるので、やり方は、そちらを参考にしてみて下さい。だいたい1回1分間を目安に1日10セットぐらい行ってあげると良いと思います。
EDには開脚ストレッチ
足を広げて前屈するというエクササイズですが、足は180°開かなくても大丈夫なので、無理のない範囲で足を広げて「開脚ストレッチ」を行うことで骨盤周辺の筋肉が柔軟になって
陰茎に血液が流れやすくなることが期待できます。
特にデスクワークが多い方、普段ほとんど運動しない方は、骨盤周りの筋肉が凝り固まって血流が悪化している可能性があるので、開脚ストレッチを、お風呂上がりや血行が良い状態で行うと、より効果的と考えられます。
ぜひお風呂上がりの習慣として、毎日続けてみた方が良いと思います。
心因性EDについて
身体の機能そのものには問題がなくて、心理的・精神的な要因からくるEDのことを「心因性ED」と呼びますが、うつ病や統合失調症といった精神疾患だけでなく
「会社のストレス」
「夫婦関係などの問題」
「幼少期のトラウマ」など
誰にでもおこって、その原因は人によってさまざまです。
「心因性ED」に悩む男性というのは一人で様々な努力を行ってしまうのですが、かえって性行為に対して緊張感や焦りが出てしまって、失敗するケースというのが多く見られます。
失敗の経験が、さらに劣等感や不安につながって、「今度もダメじゃないか?」という「予期不安」というものに、つながってしまうという風に考えられます。
一人で解決しようとしないで、専門家に相談してED治療薬を試してみるというのも一つの方法ですが、それらの前に、性行為のパートナーの女性に悩みを打ち明けて、二人三脚で協力し合うということが、最も大切かと思います。
EDを引き起こす可能性のある精神疾患
・「うつ病」
・「不安神経症」
・「統合失調症」
・アルコールや薬物の依存症
などが挙げられます。
特に「うつ病」は、年々男性の患者さんが増えているので、「心因性ED」の大きな一因となっています。
その場合、飲んでいる「抗精神病薬」や「抗うつ薬」の中には、中枢神経に作用するものが多いので、勃起に影響を与える可能性があります。
これらの場合は「薬剤性ED」に該当するので、主治医に相談して薬の内容を変えてみるという工夫も必要になってきます。
「うつ病」の症状があっても、本人に「うつ病」であるという自覚がなくて、精神科や心療内科で治療を受けていないという場合もあります。
EDの症状や性欲の減退というのが、「うつ」のサインとして現れるケースもあるので、EDに悩んでいる方の中には「うつ」の方がいるという風に思って頂いて、必ず「うつ病」があるかないかという診断を病院で受けるようにして下さい。
あとは、「うつ病」などの精神疾患がなくても、「人間関係」や「ストレス」からEDになるケースもあります。
EDにつながるストレスの例
「失恋」
「結婚」
「夫婦の不仲」
「嫁姑問題」
「男性器のコンプレックス」
「経済的な不安」
「性感染症や妊娠に対する恐怖」
日常的なストレスによるものを「現実心因」と呼びます。
「現実心因」には「職場のストレス」など、必ずしも性行為とは直結しないものも多く含まれます。
「仕事での小さな失敗」
「自信を喪失する出来事」があったり「心配事があって頭から離れなかったり」すると、脳が性的興奮を感じなくなってくるということがあります。
あとは「深層心因」と言いますが、日常生活のストレスではなくて、心の奥底に潜んだ、怒りや憎しみ、不安などを、「深層心因」と呼びます。
例えばパートナーとの葛藤だったり、幼少期におけるトラウマ、「エディプス・コンプレックス」などが挙げられます。あとは「ホモ・セクシュアル」なども「深層心因」に含まれます。
本人が自分で気づいている場合もあれば、全く気づいてない無意識的な問題のこともあるので、「現実心因」より複雑だと考えられています。
「精神分析」などで、トラウマを見つけたり、自分でも意識していない根深い問題を掘り下げたりするような、より本格的な心理療法が必要になる可能性もあります。
「心因性ED」の治療の場合でも、EDのお薬が有効な場合が多く見られます。
EDの治療薬を服用して、性行為に臨むことによって、「EDの治療薬を服用してるから今日は大丈夫!」という風に性行為に対して不安が強い場合やトラウマがある場合などでは、自信の源になります。またお薬の作用の面からも、血管の拡張作用によって、勃起を強く補助するので、「心因性ED」の多くの場合でEDの改善効果が期待できます。
ただ前に解説した通り、性行為のパートナーになる女性に様々な悩みを打ち明けて、協力し合うことが大切になってきます。仕事でのストレスや疲れが極度に溜まっている場合や、性行為に対して、強い不安やトラウマがある、性行為の相手が合わないなど、性的に刺激を感じられない場合にはEDの治療薬を使っても効果が発揮されない場合があるので注意してください。
「心理療法」
「心因性ED」で
「強い不安」
「トラウマ」
「性交への嫌悪感」
「罪悪感」などがあって
ED治療薬で十分な効果が出ない場合には、「カウンセリング」や「行動療法」などの心理学的なアプローチを行う治療もあります。
「カウンセリング」では、専門家によって時間を充分かけて繰り返し行うことによって、薬物治療で効果が出なかった方でも、時に症状が改善される例もあるので、1度や2度の「カウンセリング」で、結果を期待するのではなく、ある程度継続的に受けることが必要になってきます。
EDの予防と改善のためにおすすめしたいことまとめ
- 禁煙!
- お酒は控えめに!
1日のアルコール摂取量が
エタノール換算1日20gまで - 高カロリー・脂っこいもの・塩分が多いものは
控えめにする! - 亜鉛・シトルリン・DHA・EPA・ビタミンEなど
積極的に取り入れる! - 目指すBMIは22~25前後!
- 有酸素運動・筋トレ・ストレッチなどを行う!
- リラックスできる時間を設ける!
- 1日7時間の睡眠時間を確保する!
- 過度の自慰行為を避ける!
ただし、今回紹介したことも、継続できないと意味がないので、無理のない範囲で続けて頂ければと思います。EDの原因というのは、運動不足をはじめとした、生活習慣と密接に関わっています。運動以外でも食生活や睡眠など、色々と関係する要因があるので、お薬に頼ることも良いのですが、まずは食事・睡眠・運動を含めた生活習慣の見直しをしてみて下さい。
EDでお悩みの方の場合、まずは1回泌尿器科を受診して頂くか心療内科や精神科を受診して頂いて、その後にED専門のクリニックでEDの治療薬を手に入れて頂くというのが必要かと思います。
男性の場合、心の状態というのは、密接にEDと関係しています。
誰もが一度は経験することです!
恥ずかしいことではありませんので、一人で悩まず、ご相談、お待ちしております。
Dr.TAKA