活動報告

「うつ病」で仕事を辞めたい人に、「うつ病」を経験した産業医が伝えたいこと【休職 /復職/職場でのいじめ・パワハラ】

今回の動画は「うつ病」からの復職事例について解説しています。

  1. 「うつ」を招く要因を産業医が徹底解説
  2. お悩み相談「うつで復職後の教員、職員室でいじめに耐えかね起業を考える」
  3.  「うつ」になったらおさえておきたいポイント(まとめ)

やや長い解説になりますが、ぜひご覧下さい!

【動画詳細】

今日は「Dr.TAKAオフィシャルサイト」の方に寄せられた相談事例について、解説していきたいと思います。

実際に寄せられた相談は、「うつ」で復職後の教員の方ですが、職員室でのいじめに耐えかねて起業を考えているという内容です。

ニュース報道のご紹介

「ニュース報道のご紹介」
NHKの2023年12月22日配信の情報によれば、うつ病をはじめとしたなんらかの精神疾患により、昨年度休職を余儀なくされた公立学校の教員は、6539人と過去最多となったそうです。

「精神疾患で休職の教員過去最多 初の6000人超 20代が高い増加率」
NHKウェブサイトより
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231222/k10014295991000.html

まずは、そういう実態があるということを、みなさんに知って頂きたいと思います。

今回の相談内容の詳細

僕のもとに寄せられた相談というのは、40代後半の公立高校の教員の方なのですが
「うつ」で休職をして職場に戻ってから、先輩の先生から陰湿な「いじめ」を受けている。
「挨拶をしても無視される」、「毎日のことなので泣きたいくらい辛い」
「一応先輩だけど自分は2浪していて本当は同級生」だから余計に「つらい」「悔しい」という思いを抱えている。
家のローンがあることに加えて、進学予定の子どもと、これからお金がかかる中学生の子どもがいるので「仕事を辞めたい」なんて言ったら「妻に殺される」
「アフィリエイトやFXなどを学んで稼げるようになって今すぐ学校を辞めたい」と考えている。
実際、妻に内緒で学んでいるがそこの社長には「将来のために学ぶのは自由だけど独立・起業はそんなに甘くない。あなたのレベルで独立・起業はハイリスク。成功の見込みゼロ。」と説教されたのですが、自分は、今すぐにでも「学校を辞めて起業したい」という強い意志で取り組んでいる。
「人に使われる人生はゴメンと思っていて、教員に未練はない」

「うつ病」についての解説

「うつ病」というのは
・気分が強く落ち込む
・抑うつになる
・やる気が出ない
などの精神的な症状の他
・眠れない
・疲れやすい
・体がだるい
などの体の症状が現れることもある病気です。

一般的に「気分障害」と言われる障害の一つです
「気分障害」は、大きく2つに分けて「うつ病性障害」「双極性障害」(いわゆる「躁うつ病」)に分けられて、いわゆる「うつ病」というのは「うつ病性障害」の中の「大うつ病性障害」のことを指します。


「うつ病」になった時は
・気分が落ち込む
・やる気がなくなる
・眠れなくなる
などの「うつ状態」だけが見られるので、「単極性うつ病」とも言われます。
一方「双極性障害」というのは「うつ状態」と「躁状態」を繰り返します。
単なる「うつ」と「双極性障害」は少し違うので、「双極性障害」については、また別の機会にお話したいと思います。

みなさんよく知ってるかもしれませんが、「うつ病」になりやすい「気質・性格」があります。
・生真面目
・完璧主義
・自分に厳しい
・凝り性
・気を遣う
などが挙げられます
そのような性格のために、ストレスを受けやすいという風に考えられています。
・学校内や社内でのいじめ
・受験や仕事での失敗
・失恋や離婚
・家族や親しい友人との死別
などの悲しい出来事というのは、当然「うつ病」の発症要因になります。

その一方で
・結婚や出産
・昇進・栄転
・進学・就職
・家の新築・引っ越し
など喜ばしい出来事であっても、環境が大きく変わることで、ストレスが発生して「うつ病」を引き起こすきっかけになることが知られています。

私の場合は、「引っ越し」でした。地方に「引っ越し」をしたことによって、「うつ」を発症してしまったというケースです。「転職」も同時にあったので、長らく「うつ」に苦しめられた経験があります。
私が、今まで産業医として診た方の中で、「うつ」になりやすい方というのは、本当に真面目で「何としてでも会社に行かなきゃ」、「何としてでも職場に行かなきゃ」という、すごく真面目な方が多かったです。
休んでることにも罪悪感を感じてしまうような、そんな真面目な方がすごく多いので、そういったところは、自分自身の性格を振り返ってみて「そういう部分があるな~」という人は、「うつ病」には気をつけた方が良いと思います。

女性の場合、生涯を通じてエストロゲンのアップダウンがあるので、男性の2倍「うつ」になりやすいと言われています。
男性も50代を過ぎて、60代になってくると男性ホルモンが減少してくるので、それによる「うつ」というのもあります。
男性更年期や女性更年期など、色々な呼び方がありますが、そういったことが原因で「うつ」になることもあります。

ホルモンバランスを整えるためには、女性の場合だったら「軽い運動をする」などが挙げられますが、男性の場合も、男性ホルモンの減少を食い止めるには「筋トレ」をしてあげると良いです。
そういった意味で「運動」というのは、一つのキーワードになってくると思います。

ただ、いろいろな性格的な背景や環境要因があっても、全ての人が「うつ」になるわけではありません。他の病気が影響していたり、遺伝的なものやお薬を飲んでいるなどで「うつ」になることもります。そういったことにも注意して頂いて、なんかよく原因がわからない「うつ」になってる場合は、きちんと主治医の先生に相談してみて下さい

今回の高校の先生への対応について

今回のケースの場合、いわゆる教科書的な対応というものがあります。
一般的に「うつ病」から「復職」をしていく場合は現職復帰と言って、元の職場に戻ることが基本です。
なぜかというと、元々働けていた場所なので、「ストレスが少ない」という風に考えられるからです。僕が産業医だったとしても「元の職場に何とか戻りましょう」という風にお話することが多いです。
だけど、元々の職場が「うつ」の原因だった場合は話が変わってくるので、また別の対応が必要になってきます。
せっかく復職しても、「うつ」での休職に対して理解が得られないだけではなく、陰湿ないじめに合ってるということであれば、せっかく治った「うつ」も再発してしまうので、可能であれば「配置転換」をお願いして、そういう先輩の先生から離れることが大切になってきます。
職員室でのいじめが辛くて、今すぐにでも教員を辞めたいというところまで追い詰められながらも、この相談者さんの場合、生徒さんの前では「厳しい先生」とか「怖い先生」を演じているということでした。
偽りの自分を演じることなく「ありのままの自分」でいられるような職場というのが理想的だと思います。
「家のローンがある」
「進学を控えた娘さんが2人もいらっしゃる」
ということで、相当なプレッシャーがかかっている状況ですが、それにも関わらず
仕事を辞めたくても辞められない。これは本当に辛いことだと思います。
私自身「うつ」になって、職場を辞めざるを得なくなったことがありました。
経済的に困窮していたにも関わらず、辞めざるを得なかったので、元妻や子どもたちに、すごく大きな負担をかけたし、最終的には、そのことで妻が子どもを連れて出て行ってしまったという経緯があるので、人ごととは思えません。
そういったことも含めて、精神的にも経済的にも追い詰められているのに
・強い自分
・できる大人の男
・成功してる自分
というのを演じて、どんどん自分を追い込んでいくというパターンに陥ってしまっているという気持ちというのは、私もよく分かるので「一緒に解決策を考えましょう」という風にご提案させて頂きました。

休んでいる間について

仕事を休んでいる時に「何も手当がないか?」と言うと、そういうことはなくて、一般的な職場に勤めていて、健康保険組合に加入してるのであれば「傷病手当金」という制度があります。
病気で休業中に、給料が振り込まれないという状態の場合は、いろいろ条件はありますが、元々もらっていた給料の3分の2が最長1年6ヶ月にわたって保証されるという制度が各健康保険組合にあります。そういった制度を利用して、その間にしっかり病気を治して復職につなげていくことが大切です。
僕が前にアドバイスをしていた会社は「傷病手当金」以外に、「休職期間の保証」がありました。それは休職期間中、傷病手当金以外の残り3分の1の部分の給与を保証してくれるという素晴らしい制度です。要は1年6ヶ月の間は、満額もらえるのです。
傷病手当金が切れても、あともう1年半「休職期間の保証」として残り3分の1の部分は支給し続けるという会社もあります。
だから、とても社員のことを思って、そういう制度を設けてる会社に就職した場合は、辞めないで、何とか続けるという道を模索した方が良いと思います。
どうしても「職場に合わない」ということで、転職を考える場合は「失業手当」などもあるので、そういった国の制度を利用して、転職するというのもありだと思います。
今回のケースだと、職場の先輩が「うつ」の原因だった可能性が、けっこう高いので、その人から離れることが最善の策になります。
なので、転職活動を視野に入れた方が良いと考えます。

ただ40代後半という年齢を考えると、全く別の職種に行くとなると、金銭面だけではなく精神的にも肉体的にも負担がかなり強いと思うので、同じ教職を続けられた方が良い
という風に考えられます。

一つ注意してもらいたいのが職場を辞めるという決断というのは、けっこう「大きい決断」です。先ほど「うつ」になりやすい要因も「転職」というのが、一つのきっかけになることがあるとお話しましたが「うつ」の時は「正常な判断力を失っている」ので、よほどのことがない限り「大きな決断」はしない方が良いでしょう。
「大きな買い物をする」、「転職する」など、そういったことはなるべく控えて、まずは実際に元々いた職場に戻れないかどうか模索した方が、ベターなのかな?と思います。

次にポイントとして大切なのが「うつ」での休職に対して、奥さんとかお子さんがどう考えてるか?です。
休職中に色々話をすると思いますが、そういった時に「支えていてくれたのか?」「気持ちを理解してくれているかどうか?」が挙げられます。
学校を辞めたいという気持ちもあると思いますが「言ったら殺される」とか、そんなことを考える前に、実際に、自分の気持ちを「素直に打ち明けてみる」というのが、必要ではないかと思います。
理解のある奥さんだったら、辛い気持ちというのも分かってくれると思います。
日本人の男性は
男たるもの
「結婚したら一家の大黒柱」
「男たるもの家族を養っていかなければいけない」
「男は黙って問題を解決する」
「男はこうあるべき」
というイメージが無意識のうちに刷り込まれているものです。
特に昭和世代などはそうなのですが、よく考えてみると、家族みんなで知恵を出しあって協力しあって、困難を笑顔に変えていくために家族があるという風に思っています。

ここで「マインドセットを変える」ことが必要です。
「自分一人で頑張る」のではなく「家族と知恵を出しあって乗り越える」
そういう風に考え方のシフトができると「気持ちが楽になるのではないか?」と思います。
・素直な気持ちを話す
・誰かに相談する
・助けを求める
・話せる場所がある
というのは「うつ」の方にとっては、とても大切なことです。
私の場合も、それができなかったので、一人で抱え込んで、悪い方へ悪い方へと考えてしまって、最終的には、違法薬物などに繋がっていってしまったということがあるので、身近な人に話す勇気がないのであれば、気軽に私の「人生相談」に申し込んで頂いて、相談して頂ければと思います。

うつ病での休職から復職の流れ

 

まず「うつ病」になった時、最初は気づけないことが多いです。
家族から「おかしい」と言われたり、周りの人が「おかしいので休んだらどうか?」と言われると思います。自分では自覚症状はないかもしれませんが、発症してしまった段階では、
多分自分ではあまり分からないと思います。記憶もないかもしれません。
だけど、まわりから勧められて「医療機関を受診する」ことが最初のステップになります。
医療機関を受診すると、「うつ状態」であると診断されます。今回のケースだと「適応障害」と言われることもあります。

そうすると「診断書」がもらえます。この時、必ず「診断書」を取得してください。そうしないと「傷病手当金」も出ません。診断書をもらったら、休職して心身を休めましょう。


回復してきたなと思ったら復職を検討して、主治医の許可を得て復職準備スタート。
最後に、復職準備をして復職という流れになります。

「心身を休める」というのは、どれくらいの期間かというと、だいたい1~2ヶ月間ぐらいです。この間は、本当にずっと寝ているような状態だと思います。
「何もする気がしない」というか、そういう感じだと思うので、必要であれば、入院した方が良いでしょう。入院して、色々な刺激などがない状態で心身を休めた方が回復は早いです。

私の場合も色々な相談を受けたことがありますが、重度の「うつ」になっている人は、入院治療を勧めていました。なのであまり無理しないで、入院というのも一つの選択肢として考えて頂けたらと思います。

休職中の過ごし方ですが「できる限り体力を落とさない」ことが大切なので、ある程度落ち着いてきたら「散歩をする」「軽い筋トレをする」など、そういったことをやってみるのも良いでしょう。
特にお勧めしていたのが「図書館に通う」ということです。
歩いて、本を読んで、静かな環境で本を読んで帰る。
「生活リズムを整える」というリハビリの仕方を、私の場合は、勧めていました。
なので休職期間中も、だらだら過ごし続けるのではなく、ある程度落ち着いてきたら、少しずつチャレンジしていくと、スムーズな復職につながると思います。

家族の理解とコミュニケーションについて

こういう辛い状況を乗り越える時に、一番の解決策は「家族の理解」です。
「家族の理解」がないと、本当に前に進めないというか、ずっと辛い状況が続いてしまうので要注意です。
これが独身とか独り身だと、やはりかなり堪えるというか、本当に一筋縄ではいかないのですが、その場合でも、私がやっているカウンセリングなどにつながってもらって、悩みを打ち明けて、徐々に回復に向かっていくということが必要になってきます。
家族の良いところというのは「支え合うことができる」という点です。
たとえ収入が逼迫していても、家族が協力してくれれば何か解決の糸口が見つかるかもしれません。家族内で「良いコミュニケーション」が取れていれば、今の事態が改善する可能性があります。
だから今回の相談者さんの場合、「奥さんとしっかりコミュニケーションをとる」必要があると思います。奥さんの理解が得られれば転職活動もできると思いますし、お子さんたちのために応援してくれるはずなので、まずは「奥さんとじっくり話し合う時間」を設けてみることが大切だと思います。

だけど家族と良い関係が築けず、「うつ」になってしまう方や「うつ」になったことで、家族との関係が悪化してしまうという方もいらっしゃいます。
私自身、人に相談するとか、そういうことが苦手で、一人で抱え込んでしまうタイプでした。私だけではなく、男性一般に言えることだと思いますが、そうやって問題を抱え込んでしまうと、どうしても「悶々としてしまう」、「解決策が見つからない」となってしまうと思いますが、私の場合は、実際に逮捕されて勾留されて保釈で出た時に、誰も頼る人がいなかったので、その当時の主治医にお願いをして、「カウンセリングサービス」を紹介してもらいました。
裁判を控えて、本当にメンタルは落ち込んでいたのですが、何とかカウンセリングを受けることによって、だんだんと回復に向かっていったという経緯があります。
最終的に判決が出る時までには、かなり回復していて、穏やかな気持ちで判決を受け入れました。よって、カウンセリングを受けるというのは、すごく大事なこと」だと思います。

私の場合、産業医としても、一人の人間としても「うつ」の方の気持ちというのは、本当に分かります。今も産業医の資格はありますし、行政処分が下るまでは医師のままです。また、医学博士という医療分野での学位を取得している専門家なので、安心して「人生相談」に申し込んで頂いて、気持ちを打ち明けて頂けたらと思っています。

今日は「うつ病からの復職」。そしてそこで起きた問題について、どう解決していくか?
「うつ病」になった時に、どう対処したらいいか?そういったことについて、お話をさせて頂きました。引き続き、「Dr.TAKAチャンネル」よろしくお願い致します。

ご家族に相談できない方は、ぜひ私に相談して下さい!
Dr.TAKA(栗原隆)
Dr.TAKA(栗原隆)

Dr.TAKA

ABOUT ME
Dr.TAKA(栗原隆)
■1975年12月28日生まれ ■2005年東京医科大学大学院博士課程修了・博士(医学)の学位取得 ♦医学博士の資格と医師としての経験を活かし、”日本を元気にする”をキャッチコピーに、「薬物依存の予防」と「子供たちの未来を守る」ための活動を2024年1月より本格的にスタート!応援よろしくお願い申し上げます。
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