こんにちは!Dr.TAKAこと内科医でスポーツドクターの栗原隆です。
内科医・スポーツドクターの立場から、アスリートの肉体作りに関わってきた私にとって、今巷で話題の「マンジャロダイエット」には強い憤りを感じています。
「マンジャロ」は決して安易に使うべき薬ではありません。
本日は、専門家の視点から、この薬が抱える問題点と、なぜ健康な人がマンジャロを使用すべきでないのかを分かりやすく解説します。
マンジャロ(チルゼパチド)とは?その驚異的な効果
マンジャロの一般名はチルゼパチドというお薬です。
💡 元々の開発目的と作用機序
- 元々は2型糖尿病の治療薬として開発されました。
- 週に1回、自己注射するタイプの薬です。
- GLP-1とGIPの2種類のホルモン受容体に同時に作用する世界初の薬です。
- 痩せるメカニズムは、脳に作用して食欲を強力に抑制し、胃の動きを遅くして満腹感を持続させ、血糖値のコントロールを改善する、これにより食事量が減少し体重が減るというものです。
📈 その効果は脅威的
- 臨床試験では、約1年半使用したグループで、平均15%から22.5%もの体重減少が報告されています。
- これは従来の肥満治療と比較しても脅威的な数字です。
⚠️ 専門家が警鐘を鳴らす理由:安易な使用への懸念
効果が高いにもかかわらず、スポーツドクターとして声を大にして言いたいのは、「健康な人が安易にマンジャロを使うべきではない」ということです。
- 倫理に欠けた処方: ネット上には「美しくなりたい」と願う女性たちを惹きつける甘い歌い文句のポップな広告が溢れています。健康で標準体型、明らかに美容目的の人に処方する医師やクリニックが存在しており、これには問題があります。
- ドーピングとの類似性: 私はかつてアンチドーピング委員として活動していた経歴がありますが、治療目的以外でマンジャロを使用することは、見方を変えれば一時的なドーピングのようなものだと感じています。今後、競技者が減量目的で使用した場合、ドーピングに該当する可能性も出てくるため、注意が必要です。
オンライン診療で体重を偽ったら誰でも簡単に手に入るよ♡という投稿を見たことあります👀
💊薬に頼るダイエットの末路:最悪のリバウンドと基礎代謝の低下
マンジャロを使わない方が良い理由として、主に以下の2点が挙げられます。
1. 待っているのは「最悪のリバウンド」
薬の力で強制的に食欲をなくし、摂取カロリーを極端に減らすと、体は生きるために必要な筋肉まで分解してエネルギーにしてしまいます。
- 基礎代謝の低下: 筋肉が減ると、じっとしていても消費されるカロリー(基礎代謝)がガクンと落ちます。
- 痩せにくい体質へ: その結果、以前よりもはるかに太りやすく、痩せにくい体質に変わってしまいます。
- 猛烈なリバウンド: 薬をやめた途端、抑えられていた食欲が反動で強烈に湧くことがありますが、基礎代謝は落ちたままです。このため、猛烈なスピードでリバウンドしてしまいます。
- 研究データ: 実際、多くが中止後に高確率でリバウンドすることが報告されており、ある研究では、中止した群で1年後に体重の約14%が戻ったという結果も出ています。
2. 倫理を欠いた「自由診療ビジネス」の横行
マンジャロは本来、糖尿病や深刻な健康障害を持つ患者さんのために、厳格な管理下で使われるべき医薬品です。
- 利益優先の実態: しかし、一部の美容クリニックなどを中心に、十分な診察や指導がないまま、オンラインで簡単な問診だけで処方されるケースが後を絶ちません。これは患者さんの健康よりも利益が優先されている実態があるためです。
- 摂食障害のリスク: このようなビジネスは、特に若い女性の「痩せたい」という願いにつけ込み、過度なダイエットを助長し、その結果摂食障害を引き起こしたり悪化させたりする危険性が極めて高いと考えられます。
😱 誰も語らないマンジャロの闇:深刻な副作用
マンジャロの使用によって報告されている、命に関わる深刻な副作用や、日常生活の質を著しく下げる副作用について認識しておく必要があります。
- 急性膵炎: 最も警戒すべき副作用の一つで、膵臓に激しい炎症を起こし激痛を伴います。重症化すると命に関わる病気です。
- 失明につながる視覚障害: 目の病気との関連性が指摘されています。視神経への血流が途絶え、最悪の場合、永続的な失明に至る可能性がある非常に重い副作用です。
- 消化器症状: 吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などは最も一般的な副作用として高頻度で報告されています。
- 日常生活の質の低下: 常に乗り物酔いのような状態になり、仕事や生活がままならないという声も多く聞かれます。
- 精神症状: 食欲がなくなることで「食べる喜び」が失われ、抑鬱や気分の落ち込みを経験する人もいます。「痩せれば幸せになれると思ったが、痩せたのに幸せじゃない」という状態に陥ることも少なくありません。
【重要】マンジャロを使って良い人・絶対にいけない人
マンジャロ(チルゼパチド)は、誰でも使っていい薬ではありません。使用を検討する場合も、医師による厳格な診断と管理が絶対的な大前提です。
⭕️ 使用を検討して良い人(厳格な管理下)
- 2型糖尿病で、食事・運動療法や他の薬を使っても血糖コントロールが極めて不良な方。
- BMIが27以上で、かつ高血圧、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群など、肥満に起因する健康障害を合併している人。
- 上記条件を満たし、医師の指導のもと、本気で生活習慣の改善に取り組む意思がある人。
❌ 絶対に使ってはいけない人
- 安易なダイエット目的で使いたい健康な方。
- BMIが25未満の、いわゆる標準体重以下の方。
- 過去に膵炎や腸閉塞になったことがある方。
- 甲状腺など、癌の既往や家族歴がある方。
- 1型糖尿病の方、重度の肝障害のある方。
- 妊娠中、授乳中、あるいは近くに妊娠を希望している方。
- うつ病など、精神的に不安定な状態にある方(症状が悪化するリスクがあります)。
特に、閉経前後または閉経後の女性が急激な体重減少を起こすと、筋肉量が著しく低下しサルコペニアのリスクが高まります。さらに骨密度が低下し、将来的な骨折のリスクを爆発的に高めることにつながりかねません。健康体なのに寝たきりリスクを高めるのは本末転倒です。
🏆 Dr.TAKAが教える「最強の痩せ薬」とは?
「痩せて美しくなりたい、かっこいい自分になりたい」という目標自体は素晴らしいことです。しかし、体重減少と引き換えに心身を壊してしまっては意味がありません。
スポーツドクターとして多くのアスリートや著名人の体作りを指導してきた私がおすすめする最強の痩せ薬は、薬ではありません。それは・・・・・・
「なんだ、そんなの知ってる」
と思われるかもしれませんが、この3要素は奥が深いものです。今後は、栄養学や、膝に痛みがある方、体力がない方などタイプ別に合わせた、無理のないトレーニング方法やストレッチ方法などを詳しくお伝えしていく予定です。
Dr.TAKA
12月13日リリース









