こんにちは!Dr.TAKAこと内科医でスポーツドクターの栗原隆です。
腎臓病は自覚症状が出にくく、気づいたときにはすでに進行していることが多い危険な病気です。本日は、腎臓病の原因、予防法、そして注意すべき兆候についてわかりやすく解説します。
腎臓病は「国民病」|性別によって異なる発症リスクと注意点
慢性腎臓病は現在、国民病とも呼ばれており、日本の患者数は約1300万人以上にも上ります。これは成人の約8人に1人が該当する計算になります。
📌 年齢と性別によるリスク
- 年齢:腎機能は年齢とともに低下しやすいため、性別に関わらず、高齢の方がなりやすいのは確かです。
- 性別による違い:リスク因子としては、実際のデータでは男性の方が女性より高いとされています。
男性の方が生活習慣病になりやすい傾向があります。また、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌がほとんどないため、動脈硬化が20歳頃から始まるなど、血管が硬くなることが若い時から進行しやすい点も男女差の要因です
ただし、45歳以上の閉経期を迎える女性も決して他人事ではありません。更年期以降、ホルモンバランスの変化によって高血圧や生活習慣病のリスクが上がり、それが腎臓に影響することもあるためです。
腎臓の役割:サイレントワーカーの重要な仕事
腎臓は「サイレントワーカー(沈黙の働き物)」とも呼ばれ、非常に重要な仕事を担っています。
主な役割
腎臓の最もよく知られた役割は、体内の濾過(ろか)装置としての機能です。血液を濾過し、体にいらない老廃物、余分な水分、塩分を尿として体外に排出する。
その他の重要な働き
- 赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)を出す。
- 血圧を調整するホルモンを出す。
- 骨を強くするビタミンDを活性化させる。
腎臓病の最大の原因は「生活習慣病」
アルコールの飲み過ぎが直接的に腎臓を悪くするというよりも、そういった生活習慣によって引き起こされる生活習慣病が、腎臓病の最大の原因となります。
現在の日本において、透析になる原因の多くは糖尿病、そして高血圧があげられます。
🚨 見逃し厳禁!腎臓からのSOSサイン
腎臓病の怖い点は、腎機能が30%から45%以下に低下するまでは症状が出ないことが多いことです。しかし、病気が進行するといくつかのサインが現れます。
初期には気づきにくい自覚症状
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- むくみ(浮腫):余分な水分が排出できないため、特に足のすねなどを押すと指の跡が残ることがあります。
- 急な体重増加。
- 頻尿や夜間尿:特に夜中に何度もトイレに起きる症状(夜間尿)が出ることがあります。これは、尿を濃縮する力が落ちるため、尿の回数でカバーしようとするためです。
- 血圧が高くなる:水分や塩分が体内に留まることで、血圧が上昇します。
- 動悸や息切れ:腎機能が落ちると、赤血球を作るホルモンが減り、腎性貧血(じんせいひんけつ)になります。酸素を運ぶ力が落ちるため、少し動いただけで動悸や息切れがすることがあります。
注:動悸の原因は心臓そのものや自律神経など多岐にわたるため、腎性貧血によるものとは限らない場合もあります。
重要な尿のサイン
- タンパク尿:異常に泡立つ尿。
- 血尿:血が混じった尿。
これらの尿の変化は、他の症状よりも比較的早い段階で出てくる重要なサインの一つです。健康診断で指摘されても放置してしまう人が多いですが、これは腎臓からのSOSサインであり、見逃すのは非常に危険です。
予防と治療:腎臓を守るためにできること
腎臓を守るための予防法としては、腎臓病の最大の原因である生活習慣病を予防したり、治療したりすることに尽きます。
腎臓を守るための具体的な行動
- 塩分を控える:塩分の摂りすぎは血圧を上げ、腎臓にダメージが来る原因となります。
- 適度な運動をする。
- 適正体重を維持する。
- 禁煙。
- 治療の継続:糖尿病や高血圧と診断されている方は、医師の指示通りしっかり治療を続けることが、腎臓を守ることに直結します。特に糖尿病を予防するために、普段から食べ過ぎや飲み過ぎに注意し、血糖コントロールを行うことが最も重要です。
早期発見の鍵は「健康診断」
腎臓は、一度悪くなるとなかなか元に戻らない臓器です。肝臓のように再生力が強いわけではないため、今ある腎臓を大切にすることが非常に重要です。
腎臓病は自覚症状が出た時には、すでに病気が進行していることが多いため、健康診断を活用し、早期に異常を発見することが重要です。
健康診断でチェックすべき項目
- 尿検査:タンパク尿や血尿。
- 血液検査:クレアチニンやeGFR(推算糸球体濾過量)。
健康診断で異常を発見できれば、比較的早い段階でそれ以上の進行を食い止めることができます。もし再検査や精密検査が必要と指摘された場合は、絶対放置しないでください。それが、ご自身の腎臓を透析から守る一番の方法だと言えます。
Dr.TAKA
12月13日リリース








