人気ドラマに出演していた若手俳優が同居女性と一緒に大麻所持で逮捕されるなど、近年、若年層の大麻に関する事件が相次いでいます。

大麻とは?
大麻はアサ科に属する一年草で、古くからその丈夫な茎を利用して繊維を採取し、衣類などに活用されてきました。
しかし、大麻には「テトラヒドロカンナビノール(THC)」という成分が含まれており、これが脳に作用することで、酩酊感や陶酔感、幻覚などを引き起こすことがあります。また、繰り返し使用することで依存性が生じると言われています。
街中で普通に売られているCBDオイルについて「大麻じゃないの?違法じゃないの?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。
本記事では、アンチ・ドーピング専門家でもある医師の視点から、大麻に関する様々な疑問にお答えしていきます。
大麻に関する法的規制の変化
2024年末の法改正による大きな変化
これまで日本では、大麻の所持や譲渡は刑事罰の対象でしたが、使用そのものには罰則がありませんでした。
しかし、2024年末に大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法が改正され、大麻に関する規制体系が大きく見直されました。この改正により、大麻の使用行為も処罰対象となったのです。」
態様 | 罰則 |
---|---|
所持・譲渡・譲受 | 単純所持・譲渡・譲受:7年以下の拘禁刑 営利目的:1年以上10年以下の拘禁刑若しくは情状により300万円以下の罰金又はその両方 |
輸出入・製造 | 単純輸出入・製造:1年以上10年以下の拘禁刑 営利目的:1年以上の有期拘禁刑若しくは情状により500万円以下の罰金又はその両方 |
施用(使用) | 単純施用(使用):7年以下の拘禁刑 営利目的:1年以上10年以下の拘禁刑若しくは情状により300万円以下の罰金又はその両方 |
栽培 | 単純栽培:1年以上10年以下の拘禁刑 営利目的:1年以上の有期拘禁刑若しくは情状により500万円以下の罰金又はその両方 |
💊医療用大麻について
改正大麻取締法の施行により、医薬品医療機器等法の承認を受けた大麻草から製造された医薬品を使用することが可能になりました。
ただし、大麻から製造された医薬品は、医師から処方された場合に限って使用できるとされていますが、2025年9月現在、承認されて使える医薬品はまだ1つもないのが現状です。
CBDとTHCの違い:なぜ街中で大麻製品が売られているのか
CBD(カンナビジオール)とは
- いわゆる精神作用(「ハイ」になる作用)がない
- 依存性が非常に低い
- 健康補助や医療補助として注目されている成分
- リラックス効果や抗炎症作用が期待されている
- サプリメントやオイルとして流通している
THC(テトラヒドロカンナビノール)とは
- いわゆる「ハイ」になる成分が認められている
- 依存性や中枢神経への影響がある
- 日本では麻薬に指定されている
- 使用・所持ともに違法
大麻の規制方法の変更
これまで大麻の規制は「部位」によって判断されていました(種や茎は合法、花の部分は違法)。現在は成分による規制に変わり、THCの含有量が基準を超えるものは違法とされています。
💡注意すべきポイント
THCが入っていないCBD製品は引き続き合法ですが、基準を超えるものは麻薬として扱われ、所持や使用に罰則が適用されます。
CBDだから違法じゃないと思って買ったサプリにTHCが含まれていた場合、本人の意に反して犯罪になってしまうこともあります。
大麻の健康への影響
短期的な影響
大麻の使用による短期的な影響として、以下のようなものが報告されています▼
- 意識の変化:時間や空間の感覚が歪む
- 学習能力の低下:短期記憶が妨げられる
- 運動失調:瞬時の反応が遅れる
長期的な影響
大麻を長く使い続けると、以下のリスクが考えられます▼
- 精神障害:統合失調症、うつ病を発症しやすくなる
- IQ(知能指数)の低下:短期・長期記憶や情報処理速度が下がる
- 薬物依存状態:使用への欲求が抑えられなくなる
よくある質問と専門家の回答
Q1. タバコやアルコールより大麻は安全って本当?
大麻に関する研究は数多くありますが、アルコールに比べれば有害事象は少ないと考えられています。
しかし、大麻の使用はお酒に酔ったのと似たような状態になると言われているため、運転などは非常に危険です。
合法化された地域での交通事故の調査では、因果関係がなかったという報告もあれば、交通事故が増えたという報告もあります。因果関係があろうがなかろうが、意識朦朧状態で運転することは絶対にやめてください。
Q2. 大麻はゲートウェイドラッグ(入門薬物)なの?
最近、大麻での20代の逮捕者が非常に増えていますが、それに伴ってより ハードなドラッグである他の麻薬や覚醒剤などの依存が増えているかというと、そういうことはないと思われます。
日本の大麻使用者を調査した研究によると▼
- 回答者の大多数が大麻を使う前に、すでにアルコールやタバコを経験している
- 大麻は通常3番目に使われる物質だった
- 覚醒剤への移行率は0.08%と非常に低い
- 大麻を3番目の物質として使い始めた人の約半数(50.7%)は、その後一切他の薬物を使っていない
この研究結果から、日本において大麻がゲートウェイドラッグだという説には疑問を感じざるを得ません。
むしろ、処方薬のオーバードーズ(OD)から違法薬物に進む人たちの方が多いのではないかと考えられます。
現在最も危険な薬物とは
大麻が良いとは決して言えませんが、大麻よりも身近に手に入れることが可能なアルコール、市販薬、さらに言えばニコチンやカフェインの方が、依存性に関してははるかに強く、気軽に手に入るドラッグとして危険です。
アルコールは最大で1番危険な薬物なのではないかと考えています。
基本的にアルコールで様々な事件を起こす方もいますが、薬物犯罪というものは刑事罰ということではなくて、治療につなげていくことが何より大切です。
相談窓口のご案内
もし現在、大麻をはじめとする違法薬物やアルコールをやめたいと悩んでいらっしゃる方、そのご家族の方は、無料相談を是非お気軽にご利用ください▼▼▼
【完全無料・全国対応】Dr.TAKAのお悩み相談室|Dr.TAKAオフィシャルサイト
秘密厳守なので、安心してご利用いただけます。
まとめ
大麻に関する法的規制は2024年末に大きく変わり、使用も処罰対象となりました。健康への影響については、アルコールと比較して有害事象は少ないものの、意識に影響を与える薬物であることに変わりはありません。
特に運転時の使用は極めて危険であり、絶対に避けるべきです。また、ゲートウェイドラッグ説については科学的根拠が乏しく、むしろアルコールや処方薬の方がより深刻な問題を引き起こす可能性があります。
薬物に関する問題は刑事罰ではなく、適切な治療と支援によって解決していくことが最も重要です。
この記事は医学的情報を提供するものであり、違法行為を推奨するものではありません。薬物に関する悩みがある場合は、専門機関にご相談ください。
12月13日リリース