美容と健康

【医師解説】お風呂でのヒートショックはなぜ危険?突然死を避けるための決定的な7つの予防法

【危険】この時期!お風呂でのヒートショックに要注意!

2024年12月6日の正午過ぎ、東京渋谷区の自宅にて、歌手で俳優の中山美穂さん(54歳)が、浴槽のなかで座った状態で倒れ、亡くなっているのが見つかったという痛ましいニュースが報じられました。

中山さんは当日、予定されていたコンサートのため、午前9時頃に関係者と品川駅で待ち合わせをしていましたが、連絡がつかなかったといいます。その後、事務者の関係者が自宅を訪れたところ、自宅には鍵がかかっていました。浴槽の中で倒れている中山さんが発見され、医師によってその場で死亡が確認されました

当時の捜査関係者によると、中山さんは浴槽の中で座った状態で倒れており、浴槽にはお湯が張られた状態だったとのことです。

中山さんの遺体の状況などから、死因として以下の可能性が指摘されました。

  1. ヒートショックの可能性: 浴室に入った際に、急激な温度変化によって体に悪影響をもたらすヒートショックを起こした可能性。
  2. 浴槽で溺れた可能性: 何らかの理由で浴槽で溺れた可能性。

当時、X(旧Twitter)のトレンドでは、「ヒートショックによる心筋梗塞」というキーワードが取り沙汰されていましたが、警視庁が詳しい死因を調べている状況でした。

ヒートショックは、高齢の方だけでなく、特に大きな持病がなかった中年世代の方にも突然死を引き起こすリスクがあります。これから寒さが本格化する冬に向けて、ヒートショックの危険性を理解し、その予防法を徹底することが極めて重要です。

ヒートショックとは?突然死を引き起こすメカニズム

ヒートショックとは、急激な温度変化によって引き起こされる、ある種の病気です。

特に冬場、暖かい部屋から寒い脱衣所へ移動し、その後熱いお風呂に入る際に、体が急激な温度差にさらされます。これにより、血圧が急上昇したり、急降下したりすることで発症します。

ヒートショックが引き起こす具体的な病態には、以下のようなものがあり、これらが突然死につながる可能性があります。

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞、脳出血(脳卒中)
  • 大動脈解

血圧の急激な変動を避けることが、ヒートショック予防の鍵となります。

🛀風呂場でのヒートショック予防法:血圧の急変動を避ける7つのポイント

ヒートショックによる血圧の急上昇や急降下を避けるためには、以下の7つのポイントを実践することが推奨されます。

予防のポイント 詳細
1 脱衣所と部屋の温度差を5℃以内にする 暖かい部屋と脱衣所の温度差をできるだけ小さく保ち、急激な寒暖差を防ぎます。
2 湯舟の温度と入浴時間を守る お湯の温度は41℃以下、入浴時間は10分以内を目安にして体への負担を減らします。
3 心臓から遠い場所からかけ湯をする 足先や手先など、心臓から遠い部分から順にかけ湯をして体をお湯に慣らします。
4 入浴前後に水分補給をする 脱水を防ぐために、入浴の前後にはコップ1杯程度の水分をしっかり摂りましょう。
5 お風呂から出る時はゆっくり立ち上がる 急に立ち上がると血圧が急変するため、ゆっくりと動いて安全に出ましょう。
6 食後や飲酒後の入浴を避ける 食後すぐや飲酒後の入浴は血圧変動を招きやすく、避けるのが安全です。
7 浴室・脱衣所を温めておく お湯を張るタイミングで浴室や脱衣所も温めておくと、寒暖差を和らげられます。

これらの注意事項を守ることで、寒い冬の時期にヒートショックを引き起こし、突然死に至る可能性を減らすことができます。特にご高齢のご家族がいるご家庭では、これらの対策に十分注意していただくようお願いします。

特に注意すべき危険な入浴パターン

ヒートショックによる突然死には、典型的なパターンが存在します。

1. 飲酒後の入浴やプール

年末にかけて忘年会などで飲酒の機会が増えますが、お酒を飲んだ後にプールやお風呂に入って亡くなるケースは少なくありません。酔っ払った状態で家に帰り、寒い脱衣所で服を脱いだ後、急にお風呂に入ると、すぐに倒れる危険性があります。飲酒後の入浴は絶対に避けるべきです。

2. 激しい運動後の水分不足状態での入浴

ジョギングなどをした後に、水分も取らずに急にお風呂に入って汗を流す行為は、突然死を引き起こす典型的なパターンになります。スポーツドクターの立場からも、アスリートが行う疲労回復のための交代浴(温かいお湯と冷たい水に交互に入る方法)は、持病のない方でも心臓に負担がかかる行為であるため、一般の方は安易に真似をしないよう十分な注意が必要です。

3. 持病をお持ちの方の入浴

元々、高血圧糖尿病など、心臓や神経関係のリスクがある方が、心臓に負担がかかるような急激な温度変化にさらされると、突然死を引き起こす可能性が高まります。

まとめ:冬の入浴を安全に

ヒートショックは、急激な血圧変動が原因で、心筋梗塞や脳卒中といった重篤な事態を招き、突然死につながる恐れがあります。

悲しいニュースを教訓として、中年世代を含むすべての方が、上記7つの予防法を徹底し、この寒い冬の時期を安全に乗り切っていただくことが重要です。

特に脱衣所や浴室の温度管理(ポイント1, 7)と、入浴前後の水分補給(ポイント4)、そして危険な飲酒後の入浴を避けること(ポイント6)に意識を集中しましょう。ヒートショックの危険性を理解し、適切な予防策を講じることで、入浴の時間を安全で快適なものにしてください。

ABOUT ME
Dr.TAKA(医学博士・栗原隆)
【資格・略歴】 医師・医学博士 ◆医籍登録番号:408511 ◆医籍登録年月日:2000年4月28日 ◆25年目の医師、内科医でスポーツドクターのDr.TAKAこと栗原隆が、みなさまの心と体、両方が元気になるよう願いを込めて、エビデンスに基づいた最新の医療・健康情報をお届けしています。
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12月13日リリース

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