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新変異株『サブクレードK』の猛威!インフルエンザの予防と治し方

こんにちは!Dr.TAKAこと内科医(生活習慣病の専門家)の栗原隆です。

今年はインフルエンザの流行が例年よりも1カ月早いと言われており、「サブクレードK」という新しい変異株の話題を耳にすることが増えました。

この変異株の正体と、私たちが行うべき予防・治療のポイントについて詳しく解説します。

サブクレードKとは?なぜ猛威を振るうのか

サブクレードKの正体

『サブクレードK』とは、インフルエンザA型(H3N2、いわゆる香港型)のウイルスが少し「変身」したタイプのことです。ウイルスは生き残るために常に自分の形を少しずつ変える性質を持っていますが、今回のサブクレードKは特に注意が必要です。

免疫をすり抜ける性質

このタイプは、私たちの免疫から逃げるのが上手な性質を持っています。今までインフルエンザにかかったことがある人や、ワクチンを打ったことがある人の免疫システムをすり抜けやすいため、感染力が強く、結果として流行が拡大しやすいと言われています。

症状と重症化リスク

サブクレードKの症状は、基本的には従来のインフルエンザと同じで、38度以上の急な発熱、関節痛、喉の痛みなどが特徴です。

ただし、この香港型(H3N2)の系統は、A型の中でも症状が比較的重くなりやすい傾向があります。

熱が高く出たり、全身のダルさが強く出たりすることがあるため、「ただの風邪かな?」と我慢せず警戒する必要があります。

警戒すべきハイリスクグループ

インフルエンザはコロナと同様、重症化リスクの高い方がいます。

  • 高齢者、乳幼児、妊婦
  • 基礎疾患(持病)がある方:特に糖尿病、心臓病、呼吸器の病気(喘息など)をお持ちの方は、肺炎を併発しやすいので特に警戒が必要です。
  • 肥満:呼吸機能に負担がかかるためリスク因子の一つです。
抗がん剤治療中の81歳の父は、抗がん剤の副作用の肺炎で抗がん剤中止していますが、インフルエンザ怖いなあ・・・
「薬剤性肺炎」がある方や、がん治療中で免疫力が下がっている方は、インフルエンザにかかると致命的な肺炎に繋がる恐れがあるため、最も警戒レベルを上げる必要があります。
Dr.TAKA(栗原隆)
Dr.TAKA(栗原隆)

今すぐ始めるべき予防策

社会全体でインフルエンザに対する免疫が落ちているところに、この変異株が入ってきたことで一気に広まっています。やるべき対策は変わりません。「ワクチン」「手洗い」「湿度管理」、そして「十分な睡眠で免疫を維持すること」が基本です。

家族で実践したい環境対策

もし同居家族にリスクの高い方がいる場合、一番大切なのはウイルスを「持ち込まないこと」です。

  1. 家族全員のワクチン接種:ご家族全員がワクチンを接種することが重要です。
  2. 湿度管理:家の中でもウイルスを広げない対策として、適度な湿度50〜60%を保つことを徹底してください。
  3. 手洗いとマスクの徹底:手洗いを優先し、マスクは自分が吸い込むのを防ぐ効果よりも、「自分が無症状でも、人に感染させないためのマナー」としての効果が大きいとされています。

注目されるビタミンDの効果

ビタミンDの摂取がインフルエンザの予防に効果的であるというデータがあります。

東京慈恵会医科大学の研究では、小中学生334人を対象とした比較において、冬の間にビタミンDサプリメント(1200 IU/日)を摂取したグループは、インフルエンザA型の発症率が約42%減少したという結果が出ています。

特に、過去にビタミンDサプリを摂っていなかった子供たちで顕著な効果が見られたため、サプリメントなどで補うこともこの季節は大切です。

感染が疑われる場合の対処法と治療

病院に行くタイミングと検査の目安

以下の症状がある場合は、すぐに医療機関に電話で相談するか、受診を検討してください。

  • 水分が摂れないほどぐったりしている時
  • 呼吸が苦しい時
  • 意識がぼーっとしている時

迅速抗原検査(鼻の奥を綿棒でこする検査)は、ウイルスが増えていないと陽性が出ません。最も感度が高くなる目安は、発熱してから12時間〜24時間後です。発熱後すぐに病院に行っても「明日また来てください」と言われることがあるのはこのためです。

ただし、あまりにぐったりしている場合や、全身の症状に加えて喉の奥に独特の水疱(インフルエンザ濾胞)といった所見がある場合は、検査結果に関わらず医師の判断で治療を始めることもあります。

治療のポイントは「スピード」と「休養」

インフルエンザにかかってしまった場合の治療のポイントは「スピード」と「休養」です。

  1. 抗インフルエンザ薬の使用:発症から48時間以内に薬を使うと、ウイルスの増殖を抑え、熱が出る期間を1〜2日短くできます。
    • 現在推奨される治療薬は、1回飲むだけの「ゾフルーザ」や、古くからある「タミフル」(5日間飲む)などがあり、患者さんの状況に合わせて医師が処方します。
  2. 対症療法と注意すべき薬:熱や痛みが辛い時は解熱鎮痛剤を使います。
    • 特に子供は脳症のリスクがあるため、市販薬を使う場合は「アスピリン(アセチルサリチル酸)」が含まれていないものを選んでください。
    • インフルエンザの際に最も推奨されているのは、いわゆるカロナール(市販薬ではタイレノール)です。
  3. 休養と水分補給の徹底:薬を飲んだとしてもすぐには治りません。最も大切なことは、水分をしっかり摂って、とにかく寝ることです。
    • 水やお茶だけでは汗で失われた塩分(ミネラル)が補給できません。食事がとれない場合は、スポーツドリンクよりも体に吸収されやすいOS-1などの「経口補水液」を少しずつ飲むのがベストです。
  4. スマホなどデジタル機器のスイッチもオフにし、脳を休ませましょう。

未成年者の「異常行動」に要注意

インフルエンザにかかったお子さんや未成年の方では、高熱の影響などにより、急に走り出したり、意味のわからないことを言ったり、窓を開けて飛び出そうとする「異常行動」が稀に起きます。

  • 発熱から最初の2日間は、お子さんを一人にしないこと
  • 万が一のために玄関や窓の鍵をしっかりかけておくことを徹底してください。これは命に関わる非常に重要な注意点です。

5. 復帰の目安(出勤・登校)

熱が下がっても、体の中にはまだウイルスが残っており、人にうつす可能性があります。

  • 学校の場合:学校保健安全法に基づき、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」が出席停止期間と決まっています。
  • 大人の場合:法律の縛りはありませんが、職場の感染拡大を防ぐために、この基準(発症から5日かつ解熱後2日)を目安に復帰するのが、マナーでありリスク管理です。無理に出勤して同僚全員にうつせば、業務が停止してしまう恐れがあります。
今年は流行が早く、新しい変異株も出ていますが、無理せず休む勇気も感染拡大防止には大切です。体調には気をつけてお過ごしください。
Dr.TAKA(栗原隆)
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ABOUT ME
Dr.TAKA(医学博士・栗原隆)
【資格・略歴】 医師・医学博士 ◆医籍登録番号:408511 ◆医籍登録年月日:2000年4月28日 ◆25年目の医師、内科医でスポーツドクターのDr.TAKAこと栗原隆が、みなさまの心と体、両方が元気になるよう願いを込めて、エビデンスに基づいた最新の医療・健康情報をお届けしています。
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12月13日リリース

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